——それでも「壁打ち」が必要だった理由
「お付き合いください」
社長からそう言われたとき、
私はもう半分、答えが出ていることを感じていました。
- 新規企業取引 50万
- 就労継続支援 300万(利用者5名)
- 次の新規事業の種
数字も方向性も、もう並んでいる。
正直に言えば、「戦略」はすでに出来ている状態でした。
それでも、社長は言います。
「この進め方でいいのか、壁打ちしたい」
■ A:社長は、迷っていなかった
多くの人は、社長が迷っているように見える場面で
「正解」を提示しようとします。
でも実際は逆です。
この社長は、
何をやりたいかも
どこに賭けたいかも
すでに分かっている。
迷っているのは「戦略」ではなく、
人と役割の置き方でした。
- 自分がどこまで介在するのか
- メンバーをどこで自走させるのか
- 伴走者(私)を、どう使うのか
ここが言語化されていないだけ。
■ B:社長の問いは、いつも少しズレている
社長はこう言いました。
「高原の営業力や人材育成能力を上げたい」
「でも、仕事の管理も強化しなきゃいけない」
この2つを「同時にやろう」とした瞬間、
組織は必ず重くなります。
だから私は、問いをずらしました。
「来期、高原さんは
“何を頑張れば評価される人”ですか?」
ここで、空気が変わります。
■ C:役割と評価を分けると、数字も人も楽になる
私はこう返しました。
「来期は
・高原さんは“営業力を育てる人”
・現場管理は、別の評価軸
に切った方が、結果的にモール全体が伸びます」
この瞬間、
社長ははっきりと「腹落ち」しました。
なぜなら、
社長自身がずっと無意識にやってきたことだからです。
- 面白いテーマには介在する
- 興味がないことは、組織に任せる
- 人は“役割が明確な時”に一番伸びる
それを、言語化しただけ。
■ 壁打ちの正体は「答えを出すこと」ではない
私がやっているのは、
アドバイスでも
コンサルティングでもありません。
社長の頭の中にある
まだ言葉になっていない判断軸を
一緒に外に出すこと。
だから、私はこう付け加えました。
「基本は、社長が介在しつつ
メンバーが自走できる形がいいですよね。
来年は、その伴走をしっかりやらせてください。
その上で、私の役割も一段上で整理できると嬉しいです。」
社長は、すぐに理解しました。
■ この話は、特別な社長の話ではない
これは、
「優秀な社長」だから起きた話ではありません。
- 人が育たない
- 組織が重い
- 新規事業が進まない
その原因の多くは、
役割と評価が混ざっていることです。
社長が悪いわけでも、
社員が悪いわけでもない。
ただ、
思考を整理する相棒がいないだけ。
■ 次回予告
次回は、社長がふと漏らしたこの一言から始まります。
「実は最近、
“個人を気遣う”って何だろうと考えていて…」
なぜ社長は
①顧客
②現場
③個人
の順番を、いつも間違えてしまうのか。
——そして、
なぜそれでも前に進めてしまうのか。

